高性能住宅や高気密・高断熱住宅について調べていると、「UA値0.○」「C値0.○」「断熱等性能等級6」といった数字を目にすることがあります。
どれも住宅性能を判断する材料ですが、示しているものは同じではありません。
特に混同されやすいのが、UA値とC値です。
簡単に整理すると、
です。
UA値は住宅の「断熱性能」、C値は「気密性能」を考える際に使われます。
国土交通省では、住宅の断熱性能を評価する際にUA値などを用いており、地域の気候条件に応じた基準を設定しています。
一方、国土技術政策総合研究所では、C値について、実際に建てられた建物を専用機器で測定する気密性の指標と説明しています。
どちらも一般的には数値が小さいほど性能が高い方向を示しますが、UA値が小さいだけで快適な住宅になるわけでも、C値だけを極端に小さくすればよいわけでもありません。
本記事では、C値とUA値の違い、それぞれの数値から分かること・分からないこと、住宅会社を比較するときの見方を解説します。
| 項目 | UA値 | C値 |
|---|---|---|
| 表すもの | 建物外皮からの熱の逃げやすさ | 建物全体の隙間量 |
| 主に関係する性能 | 断熱性能 | 気密性能 |
| 単位 | W/㎡・K | ㎠/㎡ |
| 数値の見方 | 一般的に小さいほど熱が逃げにくい | 小さいほど隙間が少ない |
| 確認方法 | 設計情報をもとに計算 | 実際の建物で気密測定 |
| 断熱等性能等級との関係 | 評価に使用される | 現行の断熱等性能等級では評価対象外 |
国土技術政策総合研究所も、現在の断熱性能等級では気密性は対象としていない一方、C値を実測することで住宅の気密性を把握できると説明しています。
つまり、「断熱等級が高い=C値も必ず小さい」とは限りません。
高気密・高断熱住宅を比較する際は、UA値とC値を別々の性能として確認することが大切です。
UA値とは「外皮平均熱貫流率」を表す指標です。
住宅を包んでいる、
などから外へ逃げる熱量を、外皮面積で平均した値です。
言い換えると、「家を包んでいる外側1㎡あたりから、平均してどの程度熱が逃げるのか」を見る数字です。
国土交通省の省エネ性能表示制度でも、住宅の断熱性能を評価する指標としてUA値が使われています。
UA値は、一般的に数値が小さいほど、住宅内部の熱が外へ逃げにくいことを意味します。
たとえば冬であれば、暖房によって暖めた室内の熱を屋外へ逃がしにくくなります。夏は外部の暑さの影響を受けにくくする方向に働きます。
そのため、断熱性能を高めることは、室温を維持しやすい住宅や、暖冷房負荷を抑えやすい住宅を考えるうえで重要です。
UA値は、住宅を構成する屋根、壁、床、窓など、それぞれの部位から逃げる熱量を計算し、住宅全体の外皮面積で割って算出します。
つまり、断熱材だけの性能を示している数字ではありません。
たとえば同じ断熱材を使った住宅でも、
といった条件によってUA値は変わります。
住宅会社を比較するときは、カタログ上の代表値だけではなく、自分たちが検討しているプランでのUA値を確認しましょう。
UA値は断熱性能を見るうえで重要ですが、住宅の快適性をすべて表す数字ではありません。
たとえば、UA値だけでは、
までは判断できません。
UA値は、換気による熱損失を除いた外皮の熱損失を評価する指標です。
そのため、UA値が優れているかだけでなく、気密、換気、日射、空調、施工品質まで一体で確認する必要があります。
C値とは、住宅全体にどの程度の隙間があるかを表す「相当隙間面積」の指標です。
住宅全体の隙間に相当する面積を延べ床面積で割って算出し、単位は㎠/㎡で表します。
国土技術政策総合研究所では、C値について「延床面積1㎡あたりの隙間」を示し、数値が低いほど気密性が高いと説明しています。
C値の大きな特徴は、実際に建てた住宅で測定することです。
気密測定では、専用の機器を使って建物の内外に圧力差をつくり、空気の流量などから建物全体の隙間量を確認します。
そのため、UA値のような設計上の計算値とは性格が異なります。
C値には、窓や配管まわりの処理、壁・床・天井の接合部など、現場での気密施工の精度が反映されます。
C値が小さく隙間が少ない住宅では、意図しない場所から外気が入り込むのを抑えやすくなります。
そのため、
といったメリットが考えられます。
国土技術政策総合研究所も、高断熱・高気密によって省エネルギー性を高め、住宅内の温度差を小さくすることの重要性を説明しています。
「高性能な断熱材を使っているから、C値も良いはず」と思うかもしれません。
しかし、断熱材の性能と気密性能は別です。
気密性は、
をどのように施工するかにも左右されます。
同じ断熱材や同じサッシを採用していても、施工によって実際のC値が変わる可能性があります。
住宅会社の公式サイトでは、「C値0.○」といった数値が紹介されていることがあります。
ただし、その数字が、
のどれなのかによって意味は異なります。
自分たちの家の気密性を確認したい場合は、住宅会社へ、
を確認しましょう。
断熱と気密は、どちらも住宅の快適性に関係しますが、役割は異なります。
たとえるなら、断熱は「厚いダウンジャケット」、気密は「そのジャケットのファスナーを閉じること」と考えると分かりやすいでしょう。
いくら断熱材が高性能でも、建物に多くの隙間があれば、そこから空気が出入りします。
反対に、隙間がほとんどなくても、壁や窓の断熱性能が不足していれば、建材を通して室内外で熱が移動します。
つまり、UA値とC値は「どちらが重要か」を競わせる数字ではなく、住宅の異なる弱点を見る数字です。
計算上のUA値が優れていても、建物の隙間が多ければ、
といった問題につながる可能性があります。
反対に、C値が小さく隙間の少ない家でも、壁や屋根、窓の断熱性能が不足していれば、建材を通じて熱は移動します。
冬は窓際が冷たく感じたり、暖房負荷が大きくなったりする可能性があります。
住宅会社を比較するときは、「UA値かC値か」ではなく、両方を確認しましょう。
日本は南北に長く、地域によって気候条件が異なります。
そのため、住宅の断熱性能については、地域区分に応じて基準となるUA値などが設定されています。
UA値を確認するときは、単純に「0.○より小さいから良い」と判断するのではなく、建築予定地の地域区分と、目指す断熱等性能等級をセットで確認しましょう。
また、住宅会社が公開する標準的なUA値と、自分たちのプランのUA値が同じとは限りません。
大開口や吹き抜けを希望する場合は、実際のプランで計算した数値を確認することが重要です。
C値は気密性を把握するうえで有用な指標ですが、現在の断熱等性能等級では評価対象となっていません。
そのため、「C値○以下なら全国共通で高気密住宅」という現在の断熱等級のような公的評価方法があるわけではありません。
住宅会社ごとに目標や基準が異なるため、数値だけでなく、
まで確認しましょう。
住宅会社の性能ページを見る際は、数字の前後に書かれた言葉まで確認してください。
たとえば、
では、それぞれ意味が違います。
性能を比較する際は、条件の異なる数値を横並びにしないことが大切です。
窓は、住宅の断熱性能や室温に大きく関わる部分です。
同じUA値でも、大きな窓がどの方角に設けられているかによって、室内環境は変わります。
南側の窓から冬の日差しを取り込める住宅もあれば、西側の大開口から夏の夕方に強い日差しが入る住宅もあります。
UA値を見るだけでなく、窓の配置や日射まで確認しましょう。
高気密住宅では、意図しない隙間からではなく、換気設備を使って計画的に外気を取り入れます。
換気方式には、第1種換気、第3種換気などがあり、熱交換換気を採用する住宅もあります。
UA値は換気による熱損失を直接表す数字ではないため、換気設備をどのように設計しているかも合わせて確認する必要があります。
断熱・気密性能が高くても、エアコンの位置や能力が間取りに合っていなければ、室内に温度ムラが生じる可能性があります。
特に、大空間LDKや吹き抜け、リビング階段を採用する住宅では、空気がどのように動くかまで考える必要があります。
UA値は設計情報から計算できますが、実際の住宅では断熱材や気密層が適切に施工されている必要があります。
断熱材に欠損があったり、窓や配管まわりの気密処理が不十分だったりすれば、設計時に期待した性能を十分発揮できない可能性があります。
数値だけでなく、施工基準、現場検査、気密測定、第三者検査なども確認しましょう。
住宅の快適性を考える際は、断熱によって熱を遮るだけでなく、太陽の熱をどのように使うかも重要です。
冬は太陽光を室内へ取り込み、夏は軒や庇などで強い日差しを遮れば、冷暖房設備への負荷を抑えやすくなります。
WHALE HOUSEでは、断熱・気密性能に加え、光や空気の流れ、室温変化などをシミュレーションするパッシブデザインを家づくりへ取り入れています。
庭や眺望を楽しむために大開口を採用する場合は、窓を含めたUA値を確認しましょう。
大きな窓は室内外をつなぐ魅力がありますが、窓際の暑さ・寒さや日射の影響についても検討する必要があります。
確認したいポイントは、
です。
吹き抜けでは、屋根や天井まで大きな空間としてつながるため、上部の断熱性能も重要です。
また、高窓を設ける場合は窓性能、上下階をつなぐ場合は空調経路も確認する必要があります。
C値・UA値だけで判断せず、吹き抜け上部の窓、空調、日射まで合わせて検討しましょう。
30畳、40畳といった大空間LDKでは、断熱・気密性能とともに空調負荷を確認したいところです。
大開口や高天井がある場合は、畳数だけからエアコン容量を選ぶのではなく、建物性能を踏まえて暖冷房設備を計画することが重要です。
六甲山麓や北区などで冬の冷え込みを重視する場合は、UA値だけでなく、窓性能やC値も確認しましょう。
暖房した熱を逃がしにくくするとともに、隙間から冷たい空気が入り込むのを抑えることが重要です。
冬の日射を取り込める土地であれば、窓配置と日射取得も合わせて考えます。
高台では、海や街並みを眺めるために大きな窓を採用したくなることがあります。
その場合、窓を小さくしたモデルプランのUA値ではなく、自分たちが希望する大開口を含めたプランで性能を確認しましょう。
高台は風の影響も受けやすいため、サッシまわりの施工や気密性も確認したいポイントです。
神戸の住宅密集地では、隣家からの視線を避けながら光を取り込むため、吹き抜けや高窓を採用することがあります。
高窓を増やせば明るくなりますが、窓面積が増えることで熱の出入りにも影響します。
必要な場所へ必要な大きさの窓を設け、採光と断熱のバランスを考えましょう。
海側では、大開口による眺望だけでなく、強風、冬の海風、夏の日射、湿気なども考える必要があります。
強風で窓を開けられない日でも室内環境を維持できるよう、窓の性能、気密性、換気設備をセットで確認しましょう。
住宅会社によって、断熱・気密性能への考え方や、公開している数値は異なります。
C値を社内基準として実測する会社もあれば、平均実測値を公開する会社、断熱等級と大空間・大開口の両立を特徴とする会社もあります。
ここでは、神戸で注文住宅を検討する際に比較候補となる住宅会社を、性能情報の公開方法や家づくりの違いから紹介します。
掲載順は住宅性能の優劣を示すものではありません。
WHALE HOUSEは、神戸市を拠点に注文住宅を手がける住宅会社です。
現在の公式サイトでは、断熱、換気、気密、パッシブデザインなどを住まいの性能を支える要素として掲げています。
気密性能については、C値0.3㎠/㎡以下を基準として掲げ、完成後に気密測定を行うとしています。
また、設計段階では、光や空気の流れ、室温変化などをシミュレーションするパッシブデザインを取り入れています。
そのため、
という方にとって、比較候補となる企業のひとつです。
なお、WHALE HOUSEの過去の記事には現在と異なるC値・UA値の基準も掲載されているため、比較時は最新の公式性能ページを基準に確認するとよいでしょう。
一条工務店は、高断熱・高気密性能を特徴としているハウスメーカーです。
現在の公式サイトでは、同社の住宅におけるC値の平均実測値として0.59㎠/㎡を公開しています。また、実際に建築する住宅を一棟ごとに専用機器で気密測定すると説明しています。
そのため、
という方にとって、比較しやすい会社です。
積水ハウスは、木造住宅と鉄骨住宅を展開する大手ハウスメーカーです。
公式サイトでは、高断熱と大空間・大開口の両立を特徴として掲げ、断熱等性能等級6にも対応可能と案内しています。
そのため、
という方にとって、候補となる会社です。
商品やプランによって断熱仕様は異なるため、実際に希望するプランでどの等級・UA値になるかを確認しましょう。
| 住宅会社 | 確認しやすい性能情報 | 検討しやすい人 |
|---|---|---|
| WHALE HOUSE | C値基準、完成後の気密測定、断熱・換気・パッシブデザイン | 自由設計と施工時の気密性能を両立したい人 |
| 一条工務店 | C値平均実測値、一棟ごとの気密測定、高断熱・高気密 | 気密性能や温熱性能を数値で比較したい人 |
| 積水ハウス | 断熱等級6対応、高断熱と大空間・大開口の両立 | 断熱性能と開放的な設計を大手の技術体系で比較したい人 |
各社が公開している数値の種類や条件は異なります。商品、プラン、地域、建築条件によっても性能は変わるため、会社同士の数字を単純に横並びにせず、自分たちのプランで確認してください。
住宅会社が優れた性能を示すため、過去に測定した住宅の最高値を掲載する場合があります。
しかし、過去最高のC値が、その会社で建てるすべての住宅に当てはまるとは限りません。
比較する際は、
のどれなのかを確認しましょう。
UA値は建物の形状や窓の大きさ・性能によって変わります。
そのため、住宅会社のカタログに掲載されたモデルプランのUA値が、そのまま自分たちの住宅に当てはまるとは限りません。
特に、
場合は、設計後のプランで数値を確認しましょう。
「高気密仕様」という言葉だけでは、完成した住宅の気密性までは分かりません。
重要なのは、実際に建築した住宅を測定するかどうかです。
気密測定を行う場合は、結果を施主へ共有しているか、社内基準を満たさなかった際にどう対応するかまで確認すると、施工品質を判断する材料になります。
UA値やC値は、高性能住宅を比較するうえで役立つ数字です。
しかし、住宅は数値だけで暮らすものではありません。
実際の快適性には、
なども関係します。
数値を目的にするのではなく、希望する暮らしを快適に実現するための確認材料としてUA値・C値を見ることが大切です。
UA値とC値は、どちらが優れている指標なのかを競わせるものではありません。
UA値は、住宅からどの程度熱が逃げるのかを見る断熱性能の指標です。
C値は、住宅にどの程度の隙間があるのかを見る気密性能の指標です。
それぞれ役割が異なるため、高性能住宅を検討するときは、
をセットで確認しましょう。
住宅会社の公式サイトに「UA値0.○」「C値0.○」という数字が掲載されていたら、数字の大小だけを比較するのではなく、
「これは標準値・基準値・目標値・平均値・実測値のどれですか?」
と確認することが重要です。
さらに、UA値については「自分たちの間取りではいくつになるのか」、C値については「自分たちの住宅でも測定するのか」を聞いてみましょう。
数値の意味と確認方法まで理解できれば、「性能が高そうに見える住宅会社」ではなく、自分たちの家で、どのように性能を設計・施工・確認してくれる住宅会社なのかを比較しやすくなります。



※1.参照元:オリコン公式HP「【2024年】近畿で満足度が高いハウスメーカーランキング|口コミ比較|オリコン顧客満足度」
https://life.oricon.co.jp/rank-house-maker/area/kinki.html
※2.参照元:住友林業公式HP「住友林業が選ばれた理由」
https://sfc.jp/ie/feature/