高気密住宅について調べていると、「C値0.○」「全棟気密測定」といった表記を目にすることがあります。
C値は住宅全体の隙間量を示す指標ですが、設計図や断熱材の仕様だけを見て、完成した住宅のC値を正確に判断することはできません。
実際に建てた住宅へ専用の測定器を設置し、建物内外に圧力差をつくって空気の流れを測定することで、その住宅の気密性能を確認します。
国土技術政策総合研究所でも、C値は実際に建てられた建物を専門の気密測定器を使って測定するものと説明されています。
また、住宅などの気密性能試験には「JIS A 2201:2017 送風機による住宅等の気密性能試験方法」があり、送風機を用いて建物内外に圧力差を生じさせ、気密性能を確認する方法が規定されています。
つまり、住宅会社から「高気密仕様です」と説明されただけでは、実際に建てられた自分たちの家の気密性能までは分かりません。
本記事では、気密測定の方法、測定するタイミング、C値の見方、測定結果が住宅会社選びにどう役立つのかを解説します。
気密測定とは、実際に建てた住宅にどの程度の隙間があるのかを、専用の機器を使って測定する検査です。
窓などの開口部へ測定器を設置し、送風機によって建物内部と外部に圧力差をつくります。その際にどの程度の空気が出入りするかを測り、住宅全体の隙間量を算出します。
国土技術政策総合研究所では、住宅の隙間量は完成直前に専用機器を設置して測定できると説明しています。測定によって得られる住宅全体の隙間面積を延べ床面積で割った値が、C値です。
C値とは「相当隙間面積」と呼ばれる、住宅の気密性能を表す指標です。
住宅全体に存在する隙間に相当する面積を延べ床面積で割り、㎠/㎡で表します。
一般的には、C値が小さいほど延べ床面積に対する隙間が少なく、気密性が高い住宅と考えられます。
たとえば、同じ延べ床面積の住宅であれば、C値が小さい住宅の方が、建物全体として隙間が少ないことを意味します。
なお、C値とUA値の違いについては、「C値・UA値とは?高気密・高断熱住宅で知っておきたい違いと見方」で詳しく確認できます。
住宅などの気密性能を測る方法として、「JIS A 2201:2017 送風機による住宅等の気密性能試験方法」があります。
日本規格協会によると、JIS A 2201は、送風機を用いて建物内外に圧力差を生じさせ、主に住宅として使われる建物や建物の部位の気密性能を試験する方法を規定したものです。
また、住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)では、JIS A 2201に基づく測定方法などを習得した登録者を「気密測定技能者」としています。
住宅会社へ気密測定について確認するときは、単に「測定していますか」と聞くだけでなく、どのような方法・条件で測定するのかまで聞いてみるとよいでしょう。
気密測定では、まず建物を測定に適した状態へ整えます。
外部に面した窓やドアなどを閉め、換気口などについては測定条件に合わせて所定の処理を行います。
国土技術政策総合研究所では、C値の測定時には換気口を養生テープなどで塞ぐ例を説明しています。
つまり、普段生活している状態をそのまま測る検査ではありません。
住宅会社同士の結果を比較するときは、「どの状態で測定した数値なのか」も確認することが重要です。
次に、窓などの開口部へ専用の測定器を設置します。
測定機器には、建物内部と外部に圧力差をつくる送風機と、圧力差や空気量を計測する装置などが使われます。
一般的な住宅では、窓の一部に測定器を設置して検査を行います。
送風機を動かし、建物内部と外部に圧力差を生じさせます。
JIS A 2201では、送風機を使った建物の気密性能試験方法が定められています。
室内の空気を屋外へ排出して室内側の圧力を低くする「減圧法」や、反対に室内側の圧力を高くする「加圧法」があります。
圧力差をつくると、建物に存在する隙間を通して空気が出入りします。
複数の圧力差における空気量などを測定し、その結果から建物全体の隙間に相当する面積を算定します。
その隙間面積を住宅の延べ床面積で割った数値がC値です。
測定を行った場合は、C値だけでなく、測定日や住宅の床面積、測定条件などが分かる結果資料を確認するとよいでしょう。
住宅会社によっては、建築工事の途中で気密測定を行います。
たとえば、断熱材や気密層、窓、配管など、気密性能に関わる部分の施工が進み、その後の内装工事で隠れる前に測定する方法です。
中間段階で測定する大きなメリットは、数値が目標に届かなかった場合に隙間を探して補修しやすいことです。
確認する箇所としては、
などが考えられます。
WHALE HOUSEでは過去の公式コラムで工事中の住宅における気密測定事例を公開しており、施工中のC値を確認していた実績があります。なお、当時掲載されていた社内基準値は現在の公式性能ページと異なるため、現時点の基準は最新ページで確認する必要があります。
建物が完成した段階で気密測定を行えば、実際に引き渡される住宅に近い状態で気密性能を確認できます。
国土技術政策総合研究所でも、住宅の完成直前に専用機器を使って隙間量を測定できると説明しています。
完成時のC値を記録として残せる点はメリットですが、壁や天井の内部が仕上げ材で隠れた後では、隙間が見つかった場合に補修できる範囲が限られることがあります。
中間測定と完成測定には、それぞれ異なる役割があります。
| 測定時期 | 主な目的 | メリット |
|---|---|---|
| 中間測定 | 施工途中の気密性能を確認する | 問題があった場合に補修しやすい |
| 完成測定 | 完成した住宅の気密性能を確認する | 引き渡し時に近い状態の数値を記録できる |
2回測定すれば、施工途中の品質管理と完成後の最終確認の両方を行えます。
ただし、住宅会社ごとに施工工程や測定方針は異なります。1回しか測定しないから直ちに不十分と考えるのではなく、いつ、何のために測定し、数値が基準を満たさなかった場合にどう対応するのかを確認しましょう。
A社は工事途中のC値、B社は完成時のC値を掲載している場合、単純に数字だけを比べるのは避けた方がよいでしょう。
測定段階によって、建物の仕上がりや開口部などの条件が異なる可能性があるためです。
C値を比較するときは、
まで確認することが重要です。
住宅会社が高性能な断熱材や気密部材を採用していても、それだけで実際の住宅のC値が決まるわけではありません。
気密性能には、現場での施工精度も影響します。
たとえば、
など、建物には多くの接合部や貫通部があります。
国土技術政策総合研究所でも、C値は実際に建てられた建物を専用機器で測定して評価するものとされています。
「高気密にできる材料を使っている」ことと、「実際に建てた家が高気密である」ことは分けて確認することが大切です。
気密測定を行えば、設計図や完成写真だけでは判断しにくい住宅全体の気密性を数値で確認できます。
特に中間段階で測定し、目標値に届かなかった場合に隙間を探して補修する仕組みがあれば、気密測定を施工品質の管理に利用できます。
測定は「良い数字を見せるため」のものではなく、施工状態を確認し、必要に応じて改善するために活用することが重要です。
「高気密住宅は息苦しそう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、高気密住宅とは換気をしない住宅ではありません。
気密性を確保したうえで、換気設備によって必要な空気を計画的に入れ替えます。
国土技術政策総合研究所では、建物に大きな隙間があると、排気用換気扇の近くにある隙間から外気が入り、想定した換気経路が形成されにくくなる可能性があると説明しています。また、気密性の高い住宅でも適切に換気することで室内空気を清浄にできるとしています。
つまり、高気密と換気は対立するものではなく、計画した換気を行いやすくするためにも気密性が重要です。
建物に多くの隙間があると、冬には冷たい外気が入り込み、暖房した空気が外へ逃げやすくなります。
夏も、暑い外気が意図しない場所から入れば、冷房への負荷が増えます。
国土技術政策総合研究所も、気密性が低い住宅では外気が室内に入りやすくなり、冷暖房を使用しても十分な効果を得にくくなる可能性を説明しています。
吹き抜けや大空間のある住宅では空調する範囲が広いため、断熱だけでなく気密性も合わせて確認することが重要です。
C値は、基本的には数値が小さいほど住宅の隙間が少なく、気密性が高いことを示します。
ただし、現在の断熱等性能等級では、気密性そのものは評価対象に含まれていません。
そのため、「C値○以下なら公的に高気密住宅と認定される」といった現在の断熱等級と同様の全国共通基準があるわけではありません。
住宅会社を比較するときは、数値だけでなく、会社がどのような基準を設定し、それをどのように確認しているかを見ることが大切です。
住宅会社の性能ページに同じ「C値0.5」という数字が掲載されていても、その意味は同じとは限りません。
| 表記例 | 意味 |
|---|---|
| C値0.5以下を目標 | 会社が設計・施工時に目指している数値 |
| C値0.5以下を社内基準 | 会社が合格条件などとして設定している数値 |
| 平均C値0.5 | 対象となる複数住宅の実測値の平均 |
| 今回の住宅がC値0.5 | その住宅を実際に測定した結果 |
| 過去最高C値0.1 | 特定住宅で得られた最も小さい実績値 |
住宅会社を比較する際は、「C値0.○」だけを見ずに、その数字が何を表しているのかを確認しましょう。
モデルハウスや過去の施工事例のC値が優れていても、自分たちの住宅が同じ数値になるとは限りません。
住宅の形状や窓、配管・配線の数、施工条件などが異なるためです。
そのため、最終的には自分たちの住宅を実際に測定した結果を確認することが重要です。
測定後には、
などが分かる資料を受け取れるか確認してみましょう。
気密性能は住宅の快適性を考える重要な要素ですが、C値だけで住宅全体の性能は判断できません。
たとえば、C値が小さくても、断熱性能が十分でなければ壁や窓を通じて熱が移動します。
住宅性能を見る際は、
まで合わせて確認しましょう。
工事途中の気密測定で社内基準や目標値に届かなかった場合は、空気が漏れている場所を探して補修します。
隙間が生じやすい場所としては、
などがあります。
仕上げ材で隠れる前であれば、問題箇所を確認して補修しやすいのが中間測定のメリットです。
隙間を補修した後は、再度気密測定を行い、C値がどのように変化したか確認できます。
住宅会社を選ぶ際は、「測定するか」だけでなく、基準を満たさなかった場合に補修・再測定まで行う仕組みがあるかを確認するとよいでしょう。
住宅が完成した後にC値が想定より大きかった場合、気密層や配管まわりなどが仕上げ材の内部に隠れている可能性があります。
その場合、工事途中と比べて補修できる範囲が限られたり、工事の負担が大きくなったりすることがあります。
完成測定には最終性能を確認できるメリットがありますが、是正のしやすさでは中間測定にメリットがあります。
気密測定は、住宅の気密性能を高める工事そのものではありません。
完成した状態や施工途中の状態を測り、どの程度の気密性能が確保されているか確認する検査です。
高気密住宅になるかどうかは、設計、部材の選定、現場での気密施工などによって決まります。
気密測定は、その施工結果を確認し、必要に応じて改善するために使います。
C値は気密性能、UA値は断熱性能を見る指標です。
C値が小さくても、断熱材や窓の性能が不足していれば、建材を通して熱が移動します。
反対にUA値が優れていても、隙間が多ければ意図しない空気の出入りが生じます。
どちらか一方ではなく、両方を確認しましょう。
高気密住宅は、外気を完全に遮断して換気しない住宅ではありません。
住宅の隙間を減らし、換気設備を使って計画的に空気を入れ替えます。
国土技術政策総合研究所も、気密性の高い住宅に適切な換気を組み合わせることで、断熱性を確保しながら外気を取り入れ、室内空気を清浄にできると説明しています。
完成測定と中間測定では目的が異なります。
完成測定は引き渡し時に近い住宅の最終性能を確認するのに向いています。
一方、中間測定は問題箇所が見つかった場合に補修しやすいというメリットがあります。
測定回数の多さだけで判断せず、その住宅会社がいつ、何のために測定しているのかを確認しましょう。
住宅会社が非常に小さなC値を施工実績として紹介していることがあります。
ただし、特定住宅で得られた最高実績と、会社の平均値や社内基準、自分たちの家の実測値は異なります。
最高値だけで会社を選ばず、全棟での測定体制や平均的な実績、基準未達時の対応を確認しましょう。
吹き抜けでは1階と2階が空間的につながるため、暖かい空気が上部へ移動しやすくなります。
さらに建物に多くの隙間があると、冬の冷たい外気が入り込み、上下階の温度差や足元の寒さにつながる可能性があります。
吹き抜け住宅では、断熱・気密・高窓・日射・空調をまとめて計画することが重要です。
大空間LDKでは、暖冷房する範囲が広くなるため、建物性能と空調計画の関係が重要になります。
大きな窓を設ける場合は、サッシまわりの気密施工も確認したいポイントです。
気密測定によって、特定の窓だけではなく住宅全体としての隙間量を確認できます。
庭や眺望とリビングをつなげる大開口では、大型サッシと壁の取り合いなど、施工精度が求められる部分が増えます。
大きな窓のある家を希望する場合は、窓自体の断熱・気密性能とともに、住宅全体の気密測定をどのように行っているか確認しましょう。
六甲山麓や北区など、冬の冷え込みが気になる地域では、断熱性能とともに気密性も確認したいところです。
外気が隙間から入り込むと、暖房していても足元へ冷気を感じる場合があります。
断熱材や窓性能だけでなく、実際に建築した住宅で気密性能を確認することが重要です。
高台では眺望を活かすため、大開口を計画することがあります。
同時に風の影響を受けやすい土地もあるため、大型サッシと壁の接合部などを適切に施工することが重要です。
高台で大開口住宅を建てる場合は、気密測定の有無と窓まわりの施工方法を確認しましょう。
海側では、風が強く窓を開けにくい日も考えられます。
窓開け換気だけに頼るのではなく、機械換気を使って必要な換気を行える住宅にしておくことが重要です。
計画した給排気経路で空気を動かすためにも、気密性は確認したい性能のひとつです。
住宅密集地では、道路や隣家からの音、プライバシーなどを理由に窓を閉めて過ごす時間が長くなることがあります。
その場合も、気密性を確保し、換気設備で計画的に空気を入れ替えられる住宅にすることが大切です。
住宅会社を比較するときは、「C値が最も小さい会社」を探すだけでなく、どのような仕組みで気密性能を確認しているのかを見ることが重要です。
確認したいのは、
といった点です。
ここでは、気密測定やC値について公式情報を公開している住宅会社を企業例として紹介します。掲載順は、気密性能の優劣を示すものではありません。
WHALE HOUSEは、神戸市を拠点に注文住宅を手がける住宅会社です。
現在の公式性能ページでは、住宅全体の隙間をC値0.3㎠/㎡以下とする基準を掲げ、完成後に気密測定を行うと説明しています。
また、気密性は断熱や換気の効果を高めるためにも重要だという考え方を示しています。
そのため、
という方にとって、比較候補となる企業のひとつです。
なお、2020~2021年の公式コラムでは当時のC値基準として0.5㎠/㎡以下が記載されていますが、現在の公式性能ページでは0.3㎠/㎡以下とされています。最新の基準を確認する際は現行の性能ページを参照しましょう。
参照元:WHALE HOUSE公式HP「気密性能」
https://www.whalehouse.co.jp/performance/airtightness/
一条工務店は、高断熱・高気密性能を特徴としているハウスメーカーです。
現在の公式サイトでは、住宅のC値について平均実測値0.59㎠/㎡と公開しています。
気密性能に加えて、冷暖房効率や室内空気環境なども住宅性能の特徴として紹介しています。
そのため、
という方にとって、比較しやすい会社です。
参照元:一条工務店公式HP「高気密構造」
https://www.ichijo.co.jp/technology/comfortable/airproof/
| 比較項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 測定対象 | 全棟で測定するのか、希望者のみ・オプションなのか |
| 測定時期 | 中間、完成、または両方のどこで測定するのか |
| C値 | 目標値、社内基準、平均実測値、自宅実測値のどれか |
| 基準未達時 | 補修や再測定を行うのか |
| 結果 | 施主へ測定結果や報告書を共有するのか |
| 測定方法 | JIS A 2201に基づく測定など、どの方法で実施するのか |
| 測定者 | 誰が測定し、どのような知識・経験を持っているか |
IBECsでは、JIS A 2201に基づく測定方法などを習得して登録された「気密測定技能者」の制度を運営しています。測定者の知識・経験を確認するときのひとつの材料になります。
気密測定の目的は、住宅会社同士で「C値0.○」という数字の小ささを競うことだけではありません。
重要なのは、実際に建てた自分たちの住宅にどの程度の隙間があるのかを確認し、必要であれば改善できることです。
気密測定を住宅会社選びに活用するなら、C値そのものに加えて、
まで確認しましょう。
WHALE HOUSEのように現行公式サイトでC値の基準を掲げ、完成後に気密測定を行う会社もあれば、一条工務店のように平均実測C値を公開している会社もあります。住宅会社によって、気密性能の示し方や管理方法は異なります。
また、C値が小さければ、それだけで快適な住宅になるわけではありません。
断熱性能を示すUA値、窓、換気、日射、空調、施工品質なども合わせて確認する必要があります。
「高気密住宅です」という言葉だけではなく、実際の住宅を測定し、どのように品質を確認しているのか。
そこまで確認することで、数値だけでは見えにくい住宅会社の施工品質や性能への向き合い方を比較しやすくなります。



※1.参照元:オリコン公式HP「【2024年】近畿で満足度が高いハウスメーカーランキング|口コミ比較|オリコン顧客満足度」
https://life.oricon.co.jp/rank-house-maker/area/kinki.html
※2.参照元:住友林業公式HP「住友林業が選ばれた理由」
https://sfc.jp/ie/feature/